「天狗」制作の日々

1.ネタを考えてみる

まず前もってお題を決めて、それをどうやってTシャツにするか唸りつつ考えます。
店の路線というか、ポイントとしてはやはり、

 ・余所でしないような切り口にする
 ・絵に幾つか複数の意味を含ませる
 ・現代らしいアイテムを加える

―――という感じです。で、今回は天狗だったので、こうなります。

 ・変わった切り口
  →愛嬌のある天狗。街に住む天狗。人型のカラス。生態(子育てとか)

 ・複数の意味
  →天狗のうちわ/カラスの羽根、アンテナ/電柱、法力/電波、烏/天狗

 ・アイテム
  →電柱

こういうことを、風呂などでボーとしつつ考えます。
関係ありませんが、僕は入浴剤が好きなのです。

いつもじゃないけど、左のような書籍を読むこともあります。


2.絵にしてみる


色々と考えたら、それをTシャツ上で上手くまとめるためにゴチャゴチャと落描きをします。
ラフスケッチなどと言う人もいますが。

後で色々と気が変わるので、最初の落描きからはかなり遠いものに仕上がります。

たまに落描きの状態でそのまま完成させてしまうこともあります。
3ヶ月かけたものよりも、5分で描いた落描きのTシャツの方が売れたりすることがあって、複雑なキモチになります。

ここまで出来たら、あとは絵を描くだけなので楽なのです。

3.彷徨ってみる


絵に必要な参考写真を撮りに、外を徘徊します。
これを偉そうに取材などと言う人もいるでしょう。

図書館に行く路に、良い枝振り、じゃなくて形の電柱があったので、不審者と間違われないように、出来るだけさりげなく撮影します。

ちなみにこのときはご近所で飼っているらしい柴犬が吠えてビビリました。

4.粘土をこねてみる


現実に無いような物体を描くので、事前にどういう形であるのか、粘土を使ってモデルを作ってみます。
これは何度も使える子供用の油粘土です。

僕は斜めとかの角度とかをイチイチ想像して描くのが面倒なヒトなので、こういうことをするのが、結果として一番効率がいいのです。
出来上がったら、それを使ってアングルとか考えます。
考えてる様子は、プラモを使って遊んでる子供みたいなのです。
その姿は世間の方々にはお見せできないのです。




5.もうう一つ粘土をこねてみる


天狗の顔も複雑なので、チマチマと作ってみます。
バニーコーポレーション様の練り消しゴムを使います。

完成した絵では随分ソフトになってますが、この段階では中々コワイですね。

6.さらに粘土をこねてみる


同じく今度は天狗のお面の部分を作ります。
僕は作っている間、その形と同じ表情になってしまう癖があるのです。
その表情も、世間様にはお見せできないでしょう。

7.紙を探してみる


紙を用意します。マルマンのファインフェイス・キャンソンという凹凸がついた紙にしました。
デコボコしていると、濃い部分を鉛筆で描くときに力が要ります。
絵というのは肉体労働なのです。

8.なごんでみる


段々出来てきます。
今回は急いでいたので、結構ガンガン黒くしていきます。
鉛筆は6H〜8Bのあいだで、適当に選んでいきます。

カラスは真っ黒なので塗りつぶしが多くて疲れますが、こういう可愛いヒナを描いていると、ほのぼのとするのです。

9.くたびれてみる


そうこうしていると、大体描き上がります。
描いている間に雲とか色々思いつきで描き入れました。
人生及び宇宙は成り行きで進む部分が非常に大きいという真理をかみしめるのです。

10.とりこんでみる


鉛筆が終わったら、それをPCにスキャナで取り込むのです。
スキャナよりも紙の方が大きいので、分割して取り込んだあと、組み合わせて一枚に戻します。

ご覧のとおり、鉛筆というものは実は黒くありません。
ここから色を調整していくのです。
眼精疲労の予防のため、頻繁に休みをとるようにするのです。

11.箱を開けてみる


やっぱり色が無いと寂しいので、色の部分だけを描くことにします。

今回使うのは、ファーバーカステルのソフトパステルと、コンテ・ア・パリのパステル鉛筆です。

描いていると余分な粉が出るので、それは掃除機で吸い取ります。
時々紙まで吸い込んでぐしゃぐしゃなります。そのときは落ち込みます。

粉で喉が痛くなることが前にあったので、それからはマスクを着けるようにしました。


12.塗ってみる


色の部分だけで、線は引く必要がないので、ライトボックスの上にの絵を置き、その上に白いコピー用紙をのせ、色を塗っていきます。
今回は鉛筆の線がガチガチしていたので、色は割とソフトに塗ります。

ぼやけてても良いのです。

13.囲ってみる


余白がヨゴレてしまったので、輪郭をはっきりさせるのも兼ねて、鉛筆画の周りにPCで線を引いていきます。この囲いの外のデータは、全部消します。

これはPhotoshopというソフトのベクトル描画という機能を使うのです。
自動じゃなくて、マウス/トラックボールを使った手作業をチマチマします。

僕の大嫌いな作業なのです。夢に見るのです。
誰か代わりにやってくれたら、ご飯をおごるのです。

14.背伸びをしてみる


囲い、色の部分、鉛筆画を重ねて、色々と調整をしたりして、出来上がります。

文字も入れます。

文字を入れる場所が無いことに描き上げてから気付きました。
中々に間抜けなのです。

苦しみつつ、ウチワの柄の部分に入れたのです。
ここに落ち着くまで、丸一日悩んだのです。


― 完 ―

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